消費者物価指数(CPI) 全国 2023年(令和5年)4月分が総務省より発表されました
2023/05/19、総務省から2023年4月分の消費者物価指数(CPI)が発表されました。
結果の概要
前年同月比 | 前月比(季節調整値) | |
---|---|---|
総合 | +3.5 | +0.6 |
コア | +3.4 | +0.5 |
コアコア | +4.1 | +0.5 |
幅広い品目で食料品が値上げされ、4月分のCPIは3指数とも上昇しました。
直近5年分のCPI指数(季節調整値)、前年同月比、前月比の推移をグラフで確認しておきましょう。
3指標について、指数、前年同月比、前月比の全てが上昇しました。コアコアCPIの4.1%という数字は約42年ぶりです。
直近の動きを一番示しているのが、前月比のデータです。4月分の前月比上昇率は、3指標ともこの5年間で一番の高さです。かなりの勢いであることを示しています。
4月分のデータでなぜインフレ率があがったのでしょうか。
内訳を見ていきたいと思います。
費目の内訳を確認すると、「食料」が大きく寄与していることがわかります。
帝国データバンクの調べによると、2023年4月に約5100品目の食料品が値上げ対象となるようです(「食品主要195社」価格改定動向調査―2023年4月)。
これが今回3指数とも上昇した大きな原因です。
食料に比べると寄与度は小さいですが、家具・家事用品も指数の上昇に寄与しています。中身を確認してみると、エアコンや洗濯用洗剤が値上げされたみたいですね。
ちなみに、先程の帝国データバンクの記事によると、5月も約4000品目の食料品が値上げ対象となるようなので、5月分のCPIも上昇する可能性が高いですね。
2023年6月分(7月請求分)から電気代が値上げされる
2023/05/16、政府は電力各社の値上げ申請を審査して、その結果を公表しました。その結果、申請してきた電力各社の値上げが了承されました。
各電力会社の値上げ率と標準的な家庭における電気代の値上げ幅は下記の通りです。
この経済産業省の資料ちょっとわかりづらいのですが、今回の値上げ率は審査結果という欄になります。該当部分だけを下記に表として抽出します。
各電力会社の値上げ率(2023年6月分から) | |
北海道電力 | (+21%) |
東北電力 | (+24%) |
東京電力EP | (+14%) |
北陸電力 | (+42%) |
中国電力 | (+29%) |
四国電力 | (+25%) |
沖縄電力 | (+38%) |
電力会社ごとにブレがありますが、14~42%の値上げ率。東京電力が一番低くて、14%。北陸電力は42%の値上げです。
日本の電力会社は全部で10社ありますが、中部電力、関西電力、九州電力は値上げなしです。
関西電力と九州電力は電子力発電の割合が大きいので、値上げしないですんでいるのかもしれません。中部電力は現状値上げしないでも大丈夫という判断の模様です。
現行制度ののCPI上、電気代のウェイトは341/10000となっています。今回の電気代の値上げで、電力料金を含む総合指数とコア指数が上昇する可能性が非常に高いです。
現在の電気代支援は2023年9月までとなっているので、その後の政府の支援策がない場合、インフレ率はさらに上昇する見込みです。
ちなみに、総務省報道資料をよくみてみると、総合指数に対する物価支援策の寄与度が掲載されています。
「※1」で電気・ガスの寄与度は▲1.0となっています。つまり、対策がなければ、総合指数の前年比上昇率を0.63ポイント程度押し上げるということです(-0.37(エネルギー寄与度)+1.00(支援策がない場合の押上分))。
2023年4月分の総合指数の前年比は3.5%ですが、実際には4.1%程度の上昇率であるということですね。
日本のインフレ率は今年度末までには落ち着くのか
現状のCPIを見ている限り、まだまだ日本のインフレ率はこれから上昇していきそうですね。
ただ、2023年にはいってからのPPIは下落傾向を見せており、全てのインフレ指標が上昇一辺倒というわけでもありません。
日銀は2023年度末までにコアコアCPIが「+2.5~+2.7%」になるとの予想を出しています(下記参考画像を参照)。
インフレ率の動向を示す指標をCPI以外にもあるため、それらの指標を総合的に勘案して動向を注視する必要がありますね。
CPI以外のインフレ指標は下記の記事で紹介しているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。