株式投資家の究極の心の拠り所になっている2枚のグラフ
今回は株式投資家(特に長期投資)の心の拠り所になっている有名な2枚のグラフについてご紹介します。
今回ご紹介する2枚のグラフは株式をやっている人ならほとんどの人が知っているであろう有名なグラフです。私もこの2枚のグラフに基づいて長期投資を実践しています。
多くの人が様々な理由でいかに投資が大事なのかを説いています。難しいものから簡単なものまで色々ありますが、私は結局のところ、この2枚のグラフにいきつくと考えています。
1枚目 『株式投資(Stocks for the Long Run)』ジェレミー・シーゲル 各資産のリターン推移(超長期)
株式は219年間で約233万倍になった
長期投資のバイブルとなっている『株式投資(Stocks for the Long Run)』(ジェレミー・シーゲル)の中でもいちばん有名なグラフです。
日本語翻訳版は、2009年に日経BPから発売された第4版が最新版となっています。英語版は2022年に発売された第6版が最新版となっています。
上記画像は1802~2021年までの各主要資産のリターンを対数グラフで示したものです。
1801年をそれぞれ1としたうえで、2021年にリターンがどれくらいになっているのかが示されています(アメリカのデータです)。
1802年 | 2021年 | 実質リターン(年平均)% | |
株式(Stocks) | 1 | 2,334,990 | 6.9 |
長期債(Bonds) | 1 | 2,163 | 3.6 |
短期債(Bills) | 1 | 245 | 2.5 |
ゴールド(Gold) | 1 | 4.06 | 0.64 |
ドル紙幣(Dollar) | 1 | 0.043 | ▲1.4 |
株式が圧倒的なリターンを叩き出しています。219年間で約233万倍。インフレ調整後の実質年平均リターンは6.9%です。
暴落がきたときにこのグラフを思い出すことで、長期投資の意義、重要性を再確認できます。暴落の際の投げ売りを回避できる可能性が高まります。
株式投資家のバイブル、そして、当該著書の中に示されたこのグラフは株式投資家の心の拠り所になっているのも納得がいきますね。
私もこのグラフをみて、長期投資を始めようと決心しました。
2枚目 『21世紀の資本(LE CAPITAL)』トマ・ピケティ r>g 資本収益率の推移(超長期)
歴史を通じて、株式からの収益率が労働からの収益率(成長率)を上回る
フランスの経済学者であるトマ・ピケティが出した『21世紀の資本』という本のなかに掲載されている有名なグラフです。不等式「r>g」でも有名です。
彼は膨大な資料を分析したうえで、資本や資本主義の性質についてこの本で色々なことを述べています。全部を見ていると切りがないのですが、投資家としては、この1枚さえ押さえておけば大丈夫です。
「r>g」とは、株式の成長率が給料の成長率よりも高いことを示しています。それが世界ベースで歴史を通じて一貫して「r>g」という状態になっているというのです。
rは正確にいうと資本という意味で、株式だけでなく不動産やはたまた大規模な工場や機械などの生産設備を含むのでしょうが、そういった資本が生み出す利益が労働からもたらされる収益(g,お給料の上昇率)よりも常に高いというのがこのグラフで言いたいことです。
資本を持て、というメッセージ
このグラフから投資家が汲み取るメッセージは、効率的に資産を増やしたいのなら「資本を持て」ということです。
真面目に労働だけして給料をもらうだけだと、株式や不動産などの資本から収益を上げている人には絶対に勝てないというのがこのグラフにあらわれています(経済的な意味で)。
一昔前までは「資本」を持つことが許されたのは、資本家、つまり一部のお金持ちだけでした。
しかし、今では、インターネット、ネットバンク、証券口座さえあれば、誰でも簡単に、株式や不動産にアクセスできる時代になっています。つまり、簡単に資本を持つことができるようになっています。
株式の圧倒的なリターン、それをもたらす「r>g」という仕組み
- 株式はこの約200年間で圧倒的なリターンを出してきた資産であること
- 「r>g」という資本家に有利な仕組みが歴史を通じて世界中でみられること
資本主義は資本を持つ人が有利になる経済体制です。それを端的に示してくれるのがこの2枚のグラフだと思います。
これらのグラフのメッセージを読み取るときにはいくつかの注意点が存在します。
リターングラフについては、アメリカのこれまでのデータです。これからも同様の推移がみられるかは保証していません。『株式投資(Stocks for the Long Run)』(ジェレミー・シーゲル)を読むと、数値の差こそあれ、他の国でも同様の結果が出ていることが報告されています。
「r>g」のグラフの同様に今後もそうなるかは保証されていません。
しかし、データの期間的にもかなり信頼できますし、「r>g」という仕組みも生活をしているとかなり実感できる部分があります。
資本主義で効率的に資産を増やし、経済的に有利になるには、「資本を持て」というメッセージは現状でかなり有力なメッセージになると私は考えます。